答えであり、始まり──12th Anniversary Blendに込めた12年の想い

【誕生ストーリー】12th Anniversary Blend
〜深煎りのその先へ。シロネコ12年の「答え」と「始まり」〜
目次
- 1. 10周年ブレンドから始まった物語
- 2. “らしさ”を突き詰めた深煎りブレンド
- 3. 試行錯誤の先にたどり着いた「プレミックスロースト(混合焙煎)」
- 4. 進化する12年目──ブレンド構成の変化
- 5. 「答え」であり、「始まり」でもある
- 6. 使用豆について:ペルー/サンチュアリオ、インドネシア/バリアラビカG1
- 7. 焙煎とは、“ゴールのないマラソン”
1. 10周年ブレンドから始まった物語
2023年、シロネコは10周年を迎え、初めての記念ブレンド「10th Anniversary Blend」をつくりました。
そのときの組み合わせは、ペルー/アンデスブルーとグァテマラ。
やさしいコクとまろやかな苦味が調和した、深煎り好きのための特別な一杯でした。
ただ、自分たちのなかでは「これは完成形ではない。もっと先があるかもしれない。」という想いがありました。
それが、このブレンドに込めた自分たちのテーマ──“答えであり、始まり”ということになります。
この想いについては、後ほど詳しくお話しします。
2. “らしさ”を突き詰めた深煎りブレンド

シロネコが大切にしているのは、しっかり深煎りだけど、角の立たないまろやかな味わい。
「12th Anniversary Blend」では、通常よりもさらに深く焙煎しながらも、苦味を強調しすぎず、コクと甘味をしっかりと感じられる味を目指しました。
一口目はスパイシー、そして日を追うごとにミルキーな黒糖感が顔を出す。
そんな“深煎りの中にあるやさしさ”を表現したブレンドです。
3. 試行錯誤の先にたどり着いた「プレミックスロースト(混合焙煎)」
プレミックスロースト(混合焙煎)は、今回から取り入れたわけではなく、10周年ブレンドのときにこの手法を採用していました。
生豆を焙煎前にブレンドし、ひとつのプロファイルで仕上げるこの方法は、豆同士の個性が火の中で混ざり合い、調和するような一体感を生み出します。
ただ、それは簡単なことではありません。
通常は豆ごとに焙煎してからブレンドする「アフターミックス」が一般的で、当店でも他のブレンドはこの方法を基本としています。
なぜなら、生豆は水分量・粒の大きさ・品種特性が異なり、混ぜて焙煎するとムラが出やすく、風味のバランスが崩れるリスクがあるからです。
まずはセオリー通りに、水分値やサイズが近い豆同士(たとえばケニアとタンザニア)を組み合わせて試してみました。
けれど、その結果は意外にも「単調で奥行きのない味」。
それぞれを豆ごとのシングルローストで仕上げてからブレンドした方が美味しいという結論に至りました。
これでは逆に、豆それぞれの個性を潰してしまっている。
そもそも、プレミックスローストでやる意味があるのか?
そんな疑問を抱きながらも、異なる個性を持つ豆同士を組み合わせて再挑戦しました。
しかし最初は苦戦の連続でした。
火力のコントロールが難しく、尖った苦味やえぐみが出てしまう。
原因は、これまで慣れ親しんだシングルローストと同じようなアプローチをしていたことでした。
プレミックスローストには、これまでとは違う焙煎のアプローチが求められたのです。
焙煎とは「足し算」ではなく「引き算」。
豆の様子を見ながら、“必要最低限だけ”をやる焙煎へと意識を切り替えました。
いつもやっていたことをあえてやらない。
火を入れるというより、“見守るように火を通す”。
そうして少しずつコツを掴み、ようやくたどり着いたのが、
このブレンドにしか出せない、甘み・コク・香ばしさが調和した一体感ある味わいです。
4. 進化する12年目──ブレンド構成の変化
10周年では「ペルー×グァテマラ」。
今回は、同じペルーでもサンチュアリオ農協のロットに変更し、グァテマラを使わず、インドネシア・バリのバリアラビカG1を新たに加えました。
なぜ変えたのか?
それは、まだ「進化の余地」があると信じていたから。
過去のブレンドを踏襲するだけでなく、より洗練された味を追求するための新しい素材と挑戦です。
5. 「答え」であり、「始まり」でもある
このブレンドには、シロネコの12年の歩みが詰まっています。
「答え」とは──
長年深煎りを探求し、ようやく辿り着いた「プレミックスロースト(混合焙煎)」という表現。
すべての豆が向いているわけではない中で、慎重に選び抜いた素材だからこそ成り立つ、理想の深煎りです。
「始まり」とは──
10周年の味をそのまま使わず、新しい素材、新しい焙煎で再構成したのは、
「あれが完成形じゃない」と思ったから。
進化をやめず、より高みを目指していく。
このブレンドは、その決意表明でもあります。
6. 使用豆について:ペルー/サンチュアリオ、インドネシア/バリアラビカG1
■ペルー/サンチュアリオ農協
- 生産地:カハマルカ県サンイグナシオ郡・ハエン郡(標高1,450〜1,700m)
- 精選方法:ウォッシュド(水洗式)
- 乾燥方法:アフリカンベッドによる天日乾燥
- 品種:ティピカ・カツーラ・カツアイ・カチモール
- 特徴:チョコレート・バニラ・オレンジのニュアンス、冷めても雑味が出にくい
■インドネシア/バリアラビカG1(バリ島キンタマーニ地域)
- 標高:1,200〜1,500m
- 品種:コピアー、USDA762、S-795
- 精選方法:スマトラ式(ウエットハル)
- 特徴:マイルドな苦味と豊かな香ばしさ、しっかりとしたボディ、すっきりした後味
7. 焙煎とは、“ゴールのないマラソン”
焙煎を始めたのは、まだ趣味として楽しんでいた頃。
お店を始める前から数えれば、もう20年近くになります。
それでも——まだまだ、わからないことばかりです。
火の入り方、豆の変化、毎年の出来、不意に変わる風味。
そして何より、生豆そのものの品質や個性が、時代とともに大きく変わってきているのを実感しています。
だからこそ、飽きることがない。
思い通りにいかないからこそ、また火を入れたくなる。
焙煎とは、“ゴールのないマラソン”のようなもの。
尊敬するプロレスラー・武藤敬司さんの名言を、少しお借りしました。
コーヒーLOVE
今回の「12th Anniversary Blend」も、その果てしない道の途中で見つけたひとつの景色。
この一杯が、あなたの時間にも小さな彩りを添えられたらうれしいです。
ご購入はこちらから
このブレンドに興味を持っていただけた方は、ぜひオンラインショップでお求めいただけます。
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