【東ティモール視察記⑤】
【東ティモール視察記⑤】標高2000mの苗床と、最終選別が行われる二次加工場へ
いよいよ、今回で東ティモール視察記はシリーズ最終回となります。
最後のテーマは、「標高2000mに位置する苗床のある集落」と「二次加工場での最終選別工程」の見学です。
未来のコーヒーを育てる──標高2000mの苗床を訪問
視察最終日、私たちは標高約2000mに位置する集落「エラサリ(Erasali)」を訪れました。ここには、約3,500株ものコーヒー苗木がきれいに整列して育てられている苗床があります。
この苗木たちは、販売用ではなく、エラサリの生産者たちが自分たちの畑に植えるために育てているもの。東ティモールでは現在、コーヒーの木の高齢化が進み、植え替えや若返りが急務となっているそうです。
この取り組みを支えているのが、現地NGOであるピースウィンズ・ジャパンの皆さん。彼らは苗床の建設から育苗、植え替え方法の指導まで、生産者と二人三脚で未来のコーヒーづくりに取り組んでいます。
以下は、ピースウィンズさんからいただいた説明の一部です:
東ティモールのコーヒー生産量は年々減少しています。気候変動の影響もありますが、最も大きな要因は木の老朽化(古木化)です。古木化は収穫量の減少だけでなく、コーヒーの風味にも悪影響を与えることが分かっています。
そのため私たちは、剪定や植え替えを推進する活動を20年以上続けており、苗床の建設や苗木の育成もその一環です。最初はピースウィンズが主導しますが、いずれは生産者自身が自力で苗木を育て、品質の高いコーヒーを持続的に生産できる体制づくりを目指しています。
実際に現場で作業の様子を見ると、この場所が「東ティモールコーヒーの未来を育てている」ことを肌で感じました。
最終選別が行われる二次加工場を見学
旅の最後に訪れたのは、収穫されたコーヒー豆が最終選別される二次加工場。
ここでは機械と人の目を併用し、未熟豆や欠点豆を取り除く作業が丁寧に行われていました。品質の安定性を担保するために、手間を惜しまず、ひとつひとつの豆がチェックされています。
なお、施設内は撮影NGだったため写真はありませんが、整然とした現場の空気からも、コーヒーにかける真摯な姿勢が伝わってきました。
ちなみに、東ティモールの50セント硬貨の裏面には「コーヒーチェリー」が描かれています。それだけ、この国にとってコーヒー産業が誇るべき存在であることを意味しています。
山を降り、首都ディリへ──そして帰国
すべての視察を終え、私たちは再び首都ディリへと戻りました。
初日に感じた「交通量だけが多い、田舎の首都」という印象とは打って変わり、山の中の静かな集落を経て戻ってきたディリは、なんだか“大都会”のように見えて、ちょっと不思議な感覚でした。
帰国前には、一人で市場に出かけ、覚えたてのテトゥン語で買い物をしてみたりと、旅の最後までいろいろな経験がありました(そのあたりのエピソードは、またいつか…)。
はじめての海外・はじめての東ティモール
はじめての海外、そしてちょっぴりの一人旅。
最初は不安もありましたが、現地の人たちの優しさや、たくさんの出会いに助けられ、無事に最後まで旅を続けることができました。
今回の経験は、コーヒーに対する理解を深めてくれただけでなく、日常の当たり前を見つめ直す機会にもなりました。
このような貴重な機会を与えてくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。
そして、またいつか、東ティモールの地に戻って来られる日を楽しみにしています。
シリーズを最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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